人とペットの共存生活には知と愛が必須!

ペットケアのプロ向け専門誌「F'sClub」に掲載された
知っておきたいケア&対処法を紹介いたします。

  • トイプードル「長い被毛の犬種は、逆まつげに注意」
  • チワワ「短頭種に多い涙やけに注意!」
  • ミニチュア・ダックスフンド「垂れ耳のワンちゃんは内・外耳炎などの耳のトラブルに注意!」
  • シーズー「夏冬の雑菌性およびアレルギー性皮膚炎に注意!」
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ワンちゃんの食中毒

チョコレートとレーズンに注意!



「チョコレートやレーズンをワンちゃんが食べると体に悪いだろうな」
とは誰しも思うでしょうし、これらを積極的に与える飼い主さんもそうは居ないと思います。

しかし、実際にはほとんどの飼い主さんが危険性の度合いに対する認識はなく、テーブルの上に放置されていたチョコレートやレーズンをワンちゃんが食べるなどして容態が悪くなり、動物病院へ救急外来されるケースが後を絶たないようです。



実はこれはほぼ食中毒の範疇に入る食物事故のレベルなのです。



最近も私の友人である獣医師さんの病院へ単期間に2例チョコレートによる急変でワンちゃんが担ぎ込まれたそうです。その話を聞いた私は早速友人の獣医師にインタビューをしてまいりました。

どういう症状が起きて、どの程度の危険性があるのか?
参考にして気を付けていただければ幸いです。




■以下はS獣医師からのメールを少し分かりやすく整理したものです。



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チョコレートを食べて肝炎と溶血の症状が・・・



チョコレート中毒といっても実はチョコレート自体が悪いわけでなくチョコレートの中に含まれる成分によって問題が引き起こされるわけです。

ではチョコレートの中身は何?ということになります。

テオブロミンとカフェインが中毒物質です。
すなわちこれらの排泄経路が問題になるわけで、糞便中の排泄と尿排泄が経路です。



タク所長注:テオブロミンとカフェインについて(ウィキペディアより)

動物に対する効果

チョコレートに含まれるテオブロミンやカフェインはの量は、人間にとっては害になるほどの量ではないが、犬のようにテオブロミンの代謝速度が遅い動物にとっては害になりうる。

小型犬で50g程度、中型犬で400g程度のチョコレートを摂取すると、犬はチョコレート中毒を起こし、消化不良、過度の興奮、心拍数の低下などの症状が表れる。

てんかん様の発作を起こして死に至ることもある。



したがって糞便に排泄されるのは小腸から吸収されたものが肝臓内で処理された結果として胆汁内に排泄されて糞便に捨てられます。


肝臓内で処理すなわち代謝されることが肝臓に余計な負荷をかけてしまい肝炎を誘発します。
簡単にいうと肝臓の働きすぎです。お酒飲み過ぎも同じですね。
また、腎排泄も腎臓に負荷をかけます。


溶血の理由としては赤血球が脆弱になり壊れて溶血する場合や治療中にDIC(播種性血管内凝固症候群)を起こしたりするからといわれていますが、正確なメカニズムについては明らかになっていません。

そしてチョコレートの種類的には物凄く沢山あり、テオブロミン、カフェインの含有量や含有比率がそれぞれ違うのでなんとも言いにくいのが現状です。
 



レーズンを食べても・・・



病態が良くわかっていないのですが、体重1kgあたり3.11gで腎不全を起こしたという事例もあります。
症状が定型でなく、なんの症状も示さないもの、軽度の消化器症状を呈し(腹痛、下痢、嘔吐)回復するもの
摂取後無症状にもかかわらず急性腎不全に移行するものなどがある。
 
症状24時間以内に発現。即時もしくは遅延嘔吐、嗜眠、食欲不振。下痢腹痛が見られることが多い。
その後乏尿、無尿、脱力、死亡ということがある。
 
出来るだけ速やかな治療が必要。ほとんどの犬が治療に反応すれば(速やかに治療すれば)7日以内に回復する。



タク所長注:犬にブドウ、レーズンはダメ!(埼玉県獣医師会HPより抜粋)

2004年アメリカの動物保護団体ASPCAのAnimal Poison Control Centerはブドウを食べた犬において腎不全の症例がみられるため、注意を喚起する報告をしています。
ブドウを食べたことが原因と思われる中毒症状は1999年から報告されていて、同所でのデータベースにおいて2003年から2004年にかけての140例では食べたブドウの形状は様々ですが、50頭が何らかの症状を呈し、7頭の犬が死亡しています。

症状としてはブドウを食べた後72時間以内に吐き気、下痢がみられ、食欲不振、腹痛や元気消失、脱水などの症状も併せて見られます。数日後には腎不全を呈し長期間の治療が必要になるものや死亡に至るものもあります。

どれだけの量のブドウを食べると腎機能に問題を起こすか検討されましたが、ブドウの量としては 動物の体重1Kgに対してブドウ32g、干しブドウで 体重1Kgに対して11〜30g以上と見られています。また、食べたブドウの形態については、生のもの、干しブドウなど色々な形態のブドウで症状が見られています。

ブドウを食べたことによる腎不全の原因ははっきりしていませんが、カビ毒(例えばオクラトキシン)による汚染、高濃度のビタミンD、または同じような化合物、殺虫剤による汚染、重金属、または他の環境の毒素、まだ見つかっていないブドウの毒素などが考えられます。

海外の事例としての報告であり、原因もはっきりしていません。しかし、小型犬などでは少量のブドウでもこのようなことが起こる可能性があるので、与えないに越したことは無いと考えられます。
また、ブドウを食べた後に下痢や嘔吐などの症状が見られた場合は早急に獣医師の診察を受けると同時に、ブドウを食べたことを伝える必要があります。







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前回の日記では気候風土による体質の差を少しだけ述べましたが、勘違いしやすい事として「人間より犬猫などの動物の方が強い」という錯覚です。


また何かの機会で詳しく述べたいと思ってますが、皮膚一つとっても人間の方が構造がはるかに分厚くて三倍以上もあるのです。そして今回のテーマである食物についても基本的に肉食動物である犬や猫は、人間のような雑食系の哺乳動物のように様々な物質に対しての耐性が有るわけではなく、ともすれば非常に弱いとも言えるのです。

大事な家族の一員の「動物学的特徴」を知ることがペットオーナーの義務であり、より良いペット生活のスタートといえるでしょう。




■終わりに

今回は犬の食に関する注意と喚起がテーマでしたので、犬に食べさせてはいけない食べ物を下記のウエブサイトでぜひご覧ください。


         犬に食べさせてはいけない100の食べ物





犬のプロフェッショナル?!

もっと知識を!


私がペットビジネスに参加して約10年が経過しましたが、各地のペットショップへボディケアセミナーで訪れるごとにある事実に気づき始めました。


それは誤解を恐れず簡潔にいうとこうなります


◆アクア(魚)や小動物担当者は専門知識を有している場合が多いのに比べ、犬猫担当者の生体に関する知識は非常に低い

 
もちろん犬猫担当者も、トイレのしつけやワクチン接種や成長に合わせた外出可能時期など、一般的な飼育スタートアップ時の注意事項はキッチリと説明できるレベルでは有るのですが、私が言うところの専門知識はもっと根源的な「命の仕組み」に関わることなのです。





もっとわかりやすく説明します。
小動物で例えると分かりやすいのです。

例えばヤドクガエルを購入すると担当者は生体の特徴を説明し、それに伴う必要な知識や必要な用具などを以下のようにキチッと説明してくれます。


ヤドクガエル飼育に必要な4つの条件 「気温、湿度、土、水、」
 

 

ヤドクガエルの生息地は中米コスタリカから南米大陸アマゾン川流域ですから、必要な気温は熱帯魚などと同様27度前後です。日本で飼育するには晩夏から梅雨明けまでの期間にヒーターで保温する必要があります。


湿度

 

ヤドクガエルの皮膚は乾燥にあまり耐えられないので人工的に湿度を70%以上にします。たとえば70から80%に設定するには細かく調整しなければなりませんが、70%以上なら100%でもOKです、これなら簡単ですね。部屋が乾燥気味だと大変ですが、熱帯魚の水槽や観葉植物があれば部屋全体の湿度が高く好都合。


土などの底床材

 

底床材はとても重要です、土に中にはたくさんのバクテリアが棲み排泄物を分解し植物が吸収できるようにしてくれます。バクテリアの棲みにくい環境ではアンモニアが発生しヤドクガエルに有害です。




例えばエビ類のビーシュリンプではこう説明してくれます。


■保温・冷却器具  
ヒーターとサーモスタットは通常の熱帯魚用で問題ありません。水温を上げることより、下げる事のほうが大事です。特に夏場は水温28度から30度を越えると全滅の可能性が高くなります
冷却ファンで27度くらいに下がれば良いのですが、アパートや昼間締め切った家だとクーラーが必要になってくると思います。

①水温 22~24度が最適です。活動範囲は17~28度くらい、生存レベルは13~30度くらいです。
28度を超える環境が続くと次々と死亡します。
また、温度変化が激しい環境だと、死亡する個体が増えたり、脱卵する個体も増えます。

②PH(ペーハー)  弱酸性(PH 6.6~6.8)くらいが理想です。
ソイルを使っていれば、エビに適したPHに保ってくれますので、あまり気にしなくても大丈夫です 

種別ごとの特徴を知ろう


一方、犬猫の方はどうかというと、先に述べたように一般知識の範疇に近いことのみであり、種別に関わる生体科学的特徴について語られることは非常に少なく、結局そういった点で飼育法や注意事項を購入時に受けることは稀であるのが現状です。

しかし犬も猫もカエルやエビと同じ動物。
生息環境から生まれた特徴特性を知ることは飼育に必須の知識的条件であるはずなのです。

例えばシーズーを例にとってみます。
このワンちゃんはチベットのラサ・アプソという、イヌ科としても出現の歴史が非常に長い古代種であり、シーズーはDNAのほとんどがラサ・アプソなのです。ペキニーズとの混血という意見を否定する研究者もいます。

したがってシーズーは、「チベットの哺乳類」であるラサ・アプソの特徴を色濃く受け継いでいるといえます。どういう特徴を持つかというとチベットの気候、生息環境を考えれば答えは出ます。

チベットは高地寒冷乾燥地帯で山岳気候です。年間平均湿度がなんと35%前後という極度に湿度の低い場所なのです。こういった気候下で育まれたDNAは日常的な乾燥から皮膚を守るべく、皮脂腺を発達させるのです。日本犬の柴犬と比較すると、シーズーは約3倍から5倍皮脂腺が多いのです。要するに非常に脂性の犬だということがいえます。



さて、そこで考えねばならないのは今度は我々の住む日本の地域的気候条件です。
日本は基本的に亜熱帯気候エリアに属す高温多湿の国です。四季の誤差こそあれ、日本は現在梅雨というまさに高温高湿度期の真っ最中です。最高湿度はナント90%以上にも上ります。

こういう環境でシーズーを飼育するとなると、本来ヤドクガエルの例のように湿度や温度管理に充分注意を払う必要があるのですが、購入時にそれをきちんと教えてくれるショップは稀だというのが現実なのです。梅雨場、夏場などにシーズーをお留守番させる場合はエアコンでの温度、湿度調整は必須であるはずですが、知らないわけですから配慮が行き届くわけもなく、シーズーは高温多湿にさらされ、室内の90%を超えるような湿度によって皮膚表面の皮脂は乳化してゆるくなり、お腹の方へ垂れ下がって溜まり、背中の皮脂は少なくなって、背中カサカサお腹ダバダバという状態になるわけです。



私はトリマーさんの集まりや、トリミングショップでセミナーを行う際に必ず次の質問をすることにしています。

「梅雨や夏場に、お腹の皮膚が赤くただれたり臭くなったりしやすい犬種はなんですか?」

今まで恐らく100箇所くらいでこの質問をしていますが、トリマーさんの答えはいつも同じで、80%位のトリマーさんが「シーズーです」と答えます。それくらい顕著に日本で飼育されているシーズーには環境調整の不備が原因の皮膚疾患や不調にさらされているのです。





大事な家族の一員に見合った生活環境を考え直しましょう



ほんの一例を挙げてみましたが、日本でのペット飼育に関する必須の基本的知識のなかでも、とりわけ犬に関する情報の少なさと意識の低さは実に問題を含んでいるのです。

そしてこれらは犬猫生体販売業者のみならず、シャンプー、消臭剤、除菌剤、防虫剤、口腔ケア剤、耳垢洗浄剤、涙やけ除去剤など、ボディケア用品を製造しているメーカーにも共通の意識の低さ稚拙さが見て取れます。
注意深く見てみると、犬や猫の、その種の起源や特質にまで及んで製品作りを行なっているメーカーは悲しいことにほとんど見当たりません。

アクアや小動物では当たり前になっている事柄が、犬や猫では全くなされていないというのが現状なのです。



ペットビジネス従事者は当然のこと、飼育者もこの問題にはもっと深く傾注するべきと私は思います。



上記のシーズーはあくまで一例に過ぎません。

例えば、日本には従来から「耳の垂れた哺乳類」は居ません。 

「顔の皮膚等に深い シワがある哺乳類」も居ません。
 

しかし「夏毛、冬毛と季節に応じて換毛する哺乳類」は居ます。


なぜでしょう・・・。

そうです。日本の自然環境が耳が垂れることや、シワをたくさん作ることや、換毛しない種の存続を許さないからです。気候風土に合わない形、種はとっくの大昔に淘汰されて滅びてしまっているからです。

基本は高温多湿の亜熱帯気候なのです。
しかし四季があり、通常の亜熱帯地域とは違い、氷点下にも至る冬までがやってくるという、季節に非常に落差のある環境なのです。


そして、ペットショップで販売されている犬猫の90%は、日本と違う気候の下で育まれた「形」、言い換えれば「外国人」なのです・・・。





犬猫は人のように自分で服を脱いだり着たりエアコンのスイッチを入れるなど、温度や湿度調整が出来ませんし、それを訴えることもできません。

私達はこの不条理を是正しなければなりません。
命を差別してはいけませんが、数多くのペットの中でも犬や猫は今や家族同様、我が子同様に扱われている現在、あまりにもその命に関して不勉強であり努力をしていないといわざるを得ません。







犬猫を取り巻く法的環境なども変わりつつある今、売る側も作る側も飼う側も意識の転換期に来ていると思います。





Q&A No1.

皆さんの疑問にお答えします




Q.投稿者 AKASHI さん
そちらでは健康系のシャンプーやトリートメントは作っておられないのですか? 




A.タク所長
AKASHI様、お問い合わせ頂き有難うございます。

まず結論ですが、当研究所ではシャンプーに関して研究はしておりますが、洗浄剤にいささかの問題点を感じており未だ製品化は致しておりません。

理屈としては、被毛のある動物は皮膚構造の強さ厚みが人の五分の一程度しかなく、洗浄剤に対する耐性が非常に低い事がまず挙げられます。加えてシャンプーというのは皮膚表面の防御膜である脂肪酸膜と、それらを作り出す皮膚常在菌(表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌など)までもを落としてしまい、バリアゾーンを取り去る行為ですので注意が必要なのです。




これが、犬などのシャンプーは「一ヶ月に一度」の定説の根元となっているわけです。



したがいまして、シャンプーをする場合も出来るだけ優しいタイプの物をお使いになることをお勧めします。具体的には洗浄力が強過ぎる合成界面活性剤系のシャンプーは避けて、皮膚科学に則って製造されているシャンプー(化学合成剤不使用の表示品)などです。



また、散歩やお遊びで汚れてしまった場合も毎回洗浄剤を使うのではなく、強目のシャワーで表面の汚れを洗い落とす水だけのシャンプーをお勧めします。

ノズルから出る水圧と小さな水泡で皮膚上の汚れも十分落とせます。洗ったあとは直ぐにタオル等で水分を拭き取り、できるだけ早くドライヤーで乾かしてあげることが肝要です。





トリートメントやリンスに関しては私は不必要と考えます。
毛並みの美しさを披露する必要のあるドッグショー出場などの際には仕方がないでしょうが、日常生活には必要はないでしょう。ブラッシングだけで十分美しさは保てます。

さらにシャンプーとリンスあるいはトリートメントが一緒になったもの(リンスインシャンプーなど)は確実に悪影響を与えます。シャンプーは取り去る行為であり、トリートメントは付加する行為で、これらが同時に出来るということ自体論理的に整合性は有りません。



ご質問有難うございました。
当研究所ではこれらペットのボディケアについての正しい知識をお伝えしたく、まだ立ち上げたばかりで充実はしておりませんが徐々にアップしてまいりますので時折ご覧ください。


またのご質問をお待ちしております。

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