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犬猫からだの仕組みの話

気候風土と犬種 チワワ篇

チワワは寒がりさん

現在日本国内でもっとも人気の高い犬種と言える、可愛らしさ満点のチワワ。

ペットショップでは原産地の表示がメキシコと書かれていますが、 アステカ文明の王朝で飼われていたテチチという犬が原種のようで明確な起源は分かっていないようです。

飼育に際しての注意事項は幾つかあり、チワワで検索すれば人気犬種だけに沢山の記述が見られますが、私からまず申し上げたいのはこの犬の「体の大きさ」です。

事実上世界最小犬であり、イヌ科 としてはほぼ限界の小ささなのです。
したがって限界の小ささならではのウィークポイントは当然出てきますが、一番気をつけなければならないのは小さいが故に熱エネルギーが出にくいという特徴です。

わかりやすく言えば寒さに非常に弱い。
寒冷地の動物を考えれば容易に想像がつくでしょう。

シカもクマも寒冷気候地ほど体が大きいものなのです。
それは動物が進化の過程で環境に合わせて己の体を変化させてきた「必然」なのです。



私はかつてスピッツとチワワを同時に飼っていたことがありますが、真冬のエアコンで十分暖房の効いた部屋ですらチワワは寒がり、コタツの中へ潜り込んでいましたが、一方のスピッツはコタツはおろか、部屋の中で舌を出してハアハアと暑がり、 ベランダへ出してやると冷えたコンクリートの床へお腹をくっつけてホッとしている有様でした。

一口で犬といってもこれだけの違いがあるわけです。
暑がり犬と寒がり犬を同居させる場合は、飼育者はかなり気を遣う必要が出てきます。

シーズーの項でも書きましたが、シーズーを夏のさなかにエアコンを切った部屋で留守番をさせると当然暑がって大変なストレスになりますが、その場合チワワは比較的平気であり、冬はそれが逆転するわけです。


したがって、日本でのチワワ飼育に関してもっとも気をつけるべき季節は 「冬」です。
室温の管理を始め、ヒーター付きベッドや、外出時には 暖かい服を着せるなどファッション以前の必要が有るわけです。





次に気をつけるべきは骨格の弱さ。
テーブルの上など、少し高いところから飛び降りただけで骨折を起こしたりします。

「うん。骨が細いからね・・・」

という単純な話ではないのです。
恐らくはテチチ時代(もう少し大きい犬だった)にはそれほど弱くはなかったはずですが、「小さいほど望ましい」という人間の勝手で、どんどん小さく作られた結果なのです。


要するに体重に対して骨格のバランスが合ってない動物になってしまっているということです。
いくら骨が細くても、ネズミなんかは3メーターも上から飛び降りても骨折なぞしないことを想像していただければ、何を意味するのか分かっていただけるはずです。






その他の注意事項


チワワに関してなかなか良いサイトが有りましたので、一部を下記に転載しておきます。


 


肛門嚢炎

気をつけたい症状:おしりを床にこすりつける、おしりを痒がる

肛門付近にある肛門嚢と呼ばれる部分に分泌物がたまり、化膿してしまった状態のことです。

通常、中・大型犬の場合は便の排出時に一緒に出されるのですが、身体が小さなチワワの場合、力が足りずに分泌物がたまった状態になってしまいます。そして、そのまま放置していると化膿しこの病気になってしまいます。

シャンプーのときなど、定期的に出してあげるようにしましょう。溜まる周期などは個体差がありますので、早め早めを心がけておきたいです。

泉門開存

気をつけたい症状:頭頂部が柔らかい

チワワの頭のちょうど真ん中には、指で触ると柔らかくヘコむ泉門と呼ばれている部分があります。通常、泉門は成犬になるまでに閉じると言われてますが、成犬になっても閉じずに開いたままになっている状態の病気です。

家具などに頭をぶつけることがないよう気をつけてあげてください。

水頭症

気をつけたい症状:フラフラする、反応が鈍い、痴呆、まひ、運動失調、視力の低下、食欲異常、無関心、攻撃性の増加

チワワの頭のちょうど真ん中には、指で触ると柔らかくヘコむ泉門と呼ばれている部分があります。この部分に、脳脊髄液(頭蓋骨内部にある脳室と呼ばれる空間にある液)と呼ばれる駅が多量にたまって脳を圧迫する症状のことです。

泉門が開いている犬がかかることの多い病気ですが、全ての泉門が開いている犬が水頭症とは限りません。

すぐに生命の危険がある病気ではありませんが、薬物療法や手術などを行っても完治することがとても難しい病気です。

膝蓋骨脱臼

気をつけたい症状:疼痛、脚を1本だけ上げて歩く、脚をつかなくなる、ケンケンのような歩き方、膝が腫れる、

後脚の膝蓋骨という膝を支えるお皿の部分の腱膜のゆるみやお皿の溝が浅い時に起こりやすく、歩行が困難になる場合があります。

ひどくなると慢性的に痛み、跛行を呈すので気になったときは早めに獣医さんに診てもらっておきたいです。

よくジャンプしたり、高いところに飛び乗ったり、飛び降りたりといった行動には、脚にとても負担がかかるので、あまりさせないようにしましょう。

【グレードⅠ】

膝関節はほとんど正常な状態です。

関節を伸展して指で押すことによって簡単に脱臼が起こりますが、緩めると元に戻る。

【グレードⅡ】

膝関節を屈曲した場合に脱臼が起こり、指で押すか関節を伸ばさないともとの位置に戻らないい状態です。

【グレードⅢ】

膝関節が脱臼したままの状態が多くなります。

患肢を伸展すると時折元に戻ることがある状態です。

【グレードⅣ】

膝蓋骨は脱臼したままになってしまいます。

この段階では、外科的処置を施さなければ整復できなくなってしまいます。

角膜炎

気をつけたい症状:目をこする、涙や目やにが多い、目が白濁・赤くなる

目が大きいチワワに多いのが、黒目を覆う角膜が炎症をおこす角膜炎。チワワは目がクリッと出ているので、目をこすったときや物にぶつかったとき、ケンカしたときやシャンプーのときなどは特に注意が必要。目に入った薬品の刺激が原因になったり、傷がついたりしたのが原因でなってしまいます。

軽症のうちは抗生物質や外用薬で治療しますが、重症になると手術が必要になることもあるので気をつける必要があります。

普段から目に異常がないかチェックしてあげましょう。

低血糖症

気をつけたい症状:ぐったりしている、痙攣

血液中の糖分の濃度が著しく低下してしまいます。特に生後3ヵ月までのパピーのチワワに多くみられる病気です。

主な原因としては、食の細さや栄養不足などによって起こります。身体の小さなチワワにとっては、大きな犬に比べて欠乏や不足が起こりやすく、身体への影響も大きくなってしまいます。毎日のお食事には特に気をつけてあげましょう。

気候風土と犬種 シーズー篇

かわいいペットたちは外国人?!



前回「犬のプロフェッショナル?!」でシーズー犬の特徴について少し触れましたが、もう少し掘り下げてみます。




シーズー犬はチベットのラサ・アプソと云う犬が起源で、そのほとんどの特徴を受け継いでいます。

高山気候で低温低湿度(平均湿度35%の乾燥地帯)で育まれたラサ・アプソは、その乾燥から皮膚を守るために日本犬の柴犬の約5倍も皮脂腺が発達している、脂性の犬であることは前回も書きました。

そして日本には梅雨と云う高温高湿度(最大湿度95%にもなる)の季節があり、 その特徴がアダになるわけです。 こういった動物の身体的特徴は環境に合わせてすぐに進化するわけもなく、1万年~10万年単位の長い年月がかかるのは言うまでもありません。

シーズーにしてもラサ・アプソから特別進化しているわけではなく、単にチベットから連れてこられてわずか400年程度しか経っていないわけです。そして飼育されるのが日本で、高温高多湿の梅雨に何ら対策を施されないのではたまったものではないのです。




「〇〇ちゃん良い子にしててね~」
「今日はみんなで出かけるからお留守番よ」
「いたずらしないでね~!」




こんな感じで 留守番を言いつけ、電気を消してエアコンまでスイッチを切る。
残されたシーズー君はさみしいのは当然なのですが、エアコンを切られた室内はどんどん室温や湿度が上がっていき、 高山気候に対応するために体の表面にたっぷりある皮脂は室内の90%を超えるような高湿度に当たって乳化(ゆるくなります)していきます。

そしてゆるくなった皮脂は長時間のうちに徐々に垂れ下がりお腹付近に溜まっていきます。
そうすると今度はお腹付近の皮膚の皮膚呼吸がスムーズに行われにくくなり弱ってしまいます。
弱くなった皮膚は雑菌等の格好の標的になり、特に人のからだや犬の体に普遍的に存在する酵母菌の一種であるマラセチア菌などは脂質と高湿度が大好きですから大増殖し、結果的に皮膚炎を発症させたりします。 



これがシーズーのウィークポイントのひとつですが、彼らが日本の気候に合わない理由は他にもまだあります。




あなたのワンちゃんは換毛種ですか?



注意すべきは被毛の特徴です。
「換毛種」という言い方が有りますが、夏毛と冬毛が生え変わる種類のことです。

日本には春夏秋冬という特徴的な四季があり、夏と冬の温度差や湿度差には激しいものがあります。
したがって日本に古来より存在するイヌ科の動物(イヌ科の動物は汗腺を持たない)のほとんどは「換毛」します。これは他の動物でも見られますが、皮膚に汗腺を持たない(汗をかくことによって温度調節が出来ない)イヌ科の動物が、日本で暮らしていくための知恵ともいえるでしょう。

例えば柴犬は4月の終わり頃からアンダーコート(冬毛、下毛)が抜け始め、全部とっておけばダンボール箱一杯ほども抜けます。そして秋も深まれば寒い冬に備えてまた徐々にアンダーコートが増え始めます。


要するに冬服と夏服を季節によって衣替えしているわけです。
衣替えすることによって、結果的に温度調節湿度調節をしているわけです。
したがってシーズーを初めとした非換毛犬は梅雨、夏場対策が必須となります。


ちょっと想像してみてください。
梅雨の真っただ中で、エアコンを消して一日中セーターとダウンコートを着ているあなた自身を。

病気にならない訳がない・・・。







さあ、すこしお分かり頂けたでしょうか。
「犬のプロフェッショナル?!」で述べたように、お魚さんや小動物では産地の気候と同じ環境で飼育するようにたいていのショップでは教えてくれます。

しかしこと犬や猫になると、このことがほとんど取り沙汰されないから大変なのです。
こういったことが繁殖家や販売者の間で真剣に研究されていない背景は、商業的問題ではなく、基本的な動物学の認識度が低いことからきているのでしょう。


お魚さんや小動物では環境に配慮しないと商業的に問題が起きるのです。
温度ひとつ間違えれば、湿度一つ間違えれば、PHひとつ間違えれば、仕入れた商品(動物)が死んでしまうからこそ発達した飼育理論や管理技術が根底にあるわけです。




そして一方の犬猫はというと、そこそこの体格を持つ哺乳類であるがために、少々環境が合わなくてもすぐに死に至ることは有りません。

だから結果的に種の持つウィークポイントがどうしてもおざなりになり、種が持つ「質」が原因とも認知し得ないまま、主に皮膚疾患に始まる数々の疾病に悩まされるワンコ達が増えていくわけです。






大事な家族の一員の特徴を知る事はとても大事なことです。
美しく健やかで楽しいペット生活を実現させるために、もっともっと一緒に勉強をしていきましょう。






次回はこの続きで、他の人気犬種も取り上げていきます。









人、動物、進化の過程

犬猫は人より弱い!?




ペットケアを語る上で無視できないのが、製造者、販売者や、飼育者の大きな錯覚です。
誤解を恐れずにはっきり言えばそれらは無知から来る誤解なのです。


①例えば、犬猫は体全体が被毛で覆われているために、体毛がほとんど退化して皮膚が剥き出しになっている人間よりなんとなく強いというイメージ。

②例えば、犬猫は人間より野生動物に近いため、多少不潔な食べ物を食べても大丈夫というイメージ。



もし貴方がペットに対してこういうイメージをお持ちだとするならば、大きな間違いで或ことを知らねばなりません。

今回は上記の①と②に関してお話します。







①人と犬の皮膚構造はこうちがう



皮膚の構造を見てみると、大きく分けて外側から順に「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で出来ていますが、犬たちは豊かな被毛で覆われてはいますが、実は皮膚(表皮)そのものの厚さは人間の5分の1程度しか無いのです。

表皮の一番外側は「角質細胞層」というものであり、これが紫外線や乾燥や雑菌などから体を守っているわけですが、表皮の薄い犬たちは人に比べてダメージに対してずっと弱く、トラブルを起こしやすいのです。


ヒト(ホモサピエンス)はサル属から進化発展されたと言われていますが、進化の過程で体毛がほとんど無くなったのは数十万年数百万年も大昔の出来事なのです。

そしてその長い過程において皮膚そのものの構造(ガード能力)が進化したのは明白であり、被毛が無くても耐えられる構造となっていったわけです。




一方の犬猫は未だ被毛のある動物ですし、被毛が体の一番外側のガードゾーンであるわけですから、皮膚剥き出しの人間よりも皮膚が弱いのは当然といえます。

だから我々は、この人と犬猫の構造の違いをシャンプーなど体の清掃などの際にしっかりと把握しておく必要があります。



◆皮膚のターンオーバー

人も動物も皮膚は一定の周期で新しく生まれ変わっています。
表皮の一番下にある基底層で作られた細胞は、成長に伴って徐々に皮膚の表面へと押し上げられていき、表皮の一番外側にある角質層まで移動すると、フケとなってはがれ落ちていきます。

この過程をターンオーバー(新陳代謝)といいます。
通常、人の皮膚ターンオーバーは28日サイクルですが、犬の場合は約20日。
脂漏症などの犬では、ターンオーバーが5~10日と極端に短くなっていることもあります。




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上記の図を見ていただくと分かりやすいのですが、犬は人と比べてこの構造がはるかに薄いと思っていただいて間違いないでしょう。

そしてさらに前述したようにターンオーバーの周期が人と比べて極端に短い。
これが犬のシャンプーの適切な周期が2週間から一ヶ月と言われている事と密接に関係しているわけです。


早い話が頻繁に洗浄剤を使ったシャンプーをすると、ガードゾーンが構築されないまま肌が剥き出しで、様々な外的脅威に無防備にさらされるからなのです。

またシャンプーと皮膚科学、皮膚常在菌(必要有用菌)の重要な話があるのですが、また機会を設けて詳しくお話させていただきます。









②人は雑食、犬は肉食+アルファ



犬は基本的に人間と同じ下記図の三大栄養素を必要とする動物ですが、人間より遥かに肉食(高タンパク、高脂肪)の比率が高く、食事のバランスは人間と全く違ったものになります。

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そしてさらに、いまでは常識となっていますが、塩分や糖分の分解能力は人より遥かに低いので、人用の味付けを施したものは禁物ですので絶対に与えないようにしましょう。

そして単純に栄養バランスの話だけではなく、刺激物や、低レベル毒物、雑菌等の経口摂取を考えても、人間はやはり何十万年前、いや何百万年も遥か昔から犬猫属よりも多くの物を経口摂取してきた歴史があり、そういった意味でもそれ等のものに対する耐性が備わっているわけです。







今回はこれ以上詳しい解説は避けますが、概念としては下記の言葉を忘れないようにして飼育にあたって頂きたいものです。




   犬猫の肌やお腹は人間の赤ちゃんよりデリケート




いかがでしょう。


使ってよいもの、いけないもの。
与えてよいもの、いけないもの。
やっていいこと、いけないこと。


これらを考えるキーワードとして、私はあえて申し上げます。
こう考えておけば大筋において判断を誤らない指針となると思われます。





犬のプロフェッショナル?!

もっと知識を!


私がペットビジネスに参加して約10年が経過しましたが、各地のペットショップへボディケアセミナーで訪れるごとにある事実に気づき始めました。


それは誤解を恐れず簡潔にいうとこうなります


◆アクア(魚)や小動物担当者は専門知識を有している場合が多いのに比べ、犬猫担当者の生体に関する知識は非常に低い

 
もちろん犬猫担当者も、トイレのしつけやワクチン接種や成長に合わせた外出可能時期など、一般的な飼育スタートアップ時の注意事項はキッチリと説明できるレベルでは有るのですが、私が言うところの専門知識はもっと根源的な「命の仕組み」に関わることなのです。





もっとわかりやすく説明します。
小動物で例えると分かりやすいのです。

例えばヤドクガエルを購入すると担当者は生体の特徴を説明し、それに伴う必要な知識や必要な用具などを以下のようにキチッと説明してくれます。


ヤドクガエル飼育に必要な4つの条件 「気温、湿度、土、水、」
 

 

ヤドクガエルの生息地は中米コスタリカから南米大陸アマゾン川流域ですから、必要な気温は熱帯魚などと同様27度前後です。日本で飼育するには晩夏から梅雨明けまでの期間にヒーターで保温する必要があります。


湿度

 

ヤドクガエルの皮膚は乾燥にあまり耐えられないので人工的に湿度を70%以上にします。たとえば70から80%に設定するには細かく調整しなければなりませんが、70%以上なら100%でもOKです、これなら簡単ですね。部屋が乾燥気味だと大変ですが、熱帯魚の水槽や観葉植物があれば部屋全体の湿度が高く好都合。


土などの底床材

 

底床材はとても重要です、土に中にはたくさんのバクテリアが棲み排泄物を分解し植物が吸収できるようにしてくれます。バクテリアの棲みにくい環境ではアンモニアが発生しヤドクガエルに有害です。




例えばエビ類のビーシュリンプではこう説明してくれます。


■保温・冷却器具  
ヒーターとサーモスタットは通常の熱帯魚用で問題ありません。水温を上げることより、下げる事のほうが大事です。特に夏場は水温28度から30度を越えると全滅の可能性が高くなります
冷却ファンで27度くらいに下がれば良いのですが、アパートや昼間締め切った家だとクーラーが必要になってくると思います。

①水温 22~24度が最適です。活動範囲は17~28度くらい、生存レベルは13~30度くらいです。
28度を超える環境が続くと次々と死亡します。
また、温度変化が激しい環境だと、死亡する個体が増えたり、脱卵する個体も増えます。

②PH(ペーハー)  弱酸性(PH 6.6~6.8)くらいが理想です。
ソイルを使っていれば、エビに適したPHに保ってくれますので、あまり気にしなくても大丈夫です 

種別ごとの特徴を知ろう


一方、犬猫の方はどうかというと、先に述べたように一般知識の範疇に近いことのみであり、種別に関わる生体科学的特徴について語られることは非常に少なく、結局そういった点で飼育法や注意事項を購入時に受けることは稀であるのが現状です。

しかし犬も猫もカエルやエビと同じ動物。
生息環境から生まれた特徴特性を知ることは飼育に必須の知識的条件であるはずなのです。

例えばシーズーを例にとってみます。
このワンちゃんはチベットのラサ・アプソという、イヌ科としても出現の歴史が非常に長い古代種であり、シーズーはDNAのほとんどがラサ・アプソなのです。ペキニーズとの混血という意見を否定する研究者もいます。

したがってシーズーは、「チベットの哺乳類」であるラサ・アプソの特徴を色濃く受け継いでいるといえます。どういう特徴を持つかというとチベットの気候、生息環境を考えれば答えは出ます。

チベットは高地寒冷乾燥地帯で山岳気候です。年間平均湿度がなんと35%前後という極度に湿度の低い場所なのです。こういった気候下で育まれたDNAは日常的な乾燥から皮膚を守るべく、皮脂腺を発達させるのです。日本犬の柴犬と比較すると、シーズーは約3倍から5倍皮脂腺が多いのです。要するに非常に脂性の犬だということがいえます。



さて、そこで考えねばならないのは今度は我々の住む日本の地域的気候条件です。
日本は基本的に亜熱帯気候エリアに属す高温多湿の国です。四季の誤差こそあれ、日本は現在梅雨というまさに高温高湿度期の真っ最中です。最高湿度はナント90%以上にも上ります。

こういう環境でシーズーを飼育するとなると、本来ヤドクガエルの例のように湿度や温度管理に充分注意を払う必要があるのですが、購入時にそれをきちんと教えてくれるショップは稀だというのが現実なのです。梅雨場、夏場などにシーズーをお留守番させる場合はエアコンでの温度、湿度調整は必須であるはずですが、知らないわけですから配慮が行き届くわけもなく、シーズーは高温多湿にさらされ、室内の90%を超えるような湿度によって皮膚表面の皮脂は乳化してゆるくなり、お腹の方へ垂れ下がって溜まり、背中の皮脂は少なくなって、背中カサカサお腹ダバダバという状態になるわけです。



私はトリマーさんの集まりや、トリミングショップでセミナーを行う際に必ず次の質問をすることにしています。

「梅雨や夏場に、お腹の皮膚が赤くただれたり臭くなったりしやすい犬種はなんですか?」

今まで恐らく100箇所くらいでこの質問をしていますが、トリマーさんの答えはいつも同じで、80%位のトリマーさんが「シーズーです」と答えます。それくらい顕著に日本で飼育されているシーズーには環境調整の不備が原因の皮膚疾患や不調にさらされているのです。





大事な家族の一員に見合った生活環境を考え直しましょう



ほんの一例を挙げてみましたが、日本でのペット飼育に関する必須の基本的知識のなかでも、とりわけ犬に関する情報の少なさと意識の低さは実に問題を含んでいるのです。

そしてこれらは犬猫生体販売業者のみならず、シャンプー、消臭剤、除菌剤、防虫剤、口腔ケア剤、耳垢洗浄剤、涙やけ除去剤など、ボディケア用品を製造しているメーカーにも共通の意識の低さ稚拙さが見て取れます。
注意深く見てみると、犬や猫の、その種の起源や特質にまで及んで製品作りを行なっているメーカーは悲しいことにほとんど見当たりません。

アクアや小動物では当たり前になっている事柄が、犬や猫では全くなされていないというのが現状なのです。



ペットビジネス従事者は当然のこと、飼育者もこの問題にはもっと深く傾注するべきと私は思います。



上記のシーズーはあくまで一例に過ぎません。

例えば、日本には従来から「耳の垂れた哺乳類」は居ません。 

「顔の皮膚等に深い シワがある哺乳類」も居ません。
 

しかし「夏毛、冬毛と季節に応じて換毛する哺乳類」は居ます。


なぜでしょう・・・。

そうです。日本の自然環境が耳が垂れることや、シワをたくさん作ることや、換毛しない種の存続を許さないからです。気候風土に合わない形、種はとっくの大昔に淘汰されて滅びてしまっているからです。

基本は高温多湿の亜熱帯気候なのです。
しかし四季があり、通常の亜熱帯地域とは違い、氷点下にも至る冬までがやってくるという、季節に非常に落差のある環境なのです。


そして、ペットショップで販売されている犬猫の90%は、日本と違う気候の下で育まれた「形」、言い換えれば「外国人」なのです・・・。





犬猫は人のように自分で服を脱いだり着たりエアコンのスイッチを入れるなど、温度や湿度調整が出来ませんし、それを訴えることもできません。

私達はこの不条理を是正しなければなりません。
命を差別してはいけませんが、数多くのペットの中でも犬や猫は今や家族同様、我が子同様に扱われている現在、あまりにもその命に関して不勉強であり努力をしていないといわざるを得ません。







犬猫を取り巻く法的環境なども変わりつつある今、売る側も作る側も飼う側も意識の転換期に来ていると思います。





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