例えば、シーズーのDNAはチベットのラサ・アプソである。
チベットは年間平均湿度が35%と非常に低く40%を超える事すらほとんどない高山気候の土地柄である。
したがってラサ・アプソは自分の皮膚を乾燥から守るために皮脂腺がとても発達した犬であり、そのDNAを受け継ぐシーズーも全く同じであり、柴犬のおよそ5倍もの皮脂腺を持つ。
つまるところシーズー高湿度に非常に弱く、梅雨から夏にかけて腹部の皮膚を中心とした皮膚炎をとても起こしやすいので室内の湿度調整が欠かせ無い犬種であるのだ。
しかしながらペット業界でこういう犬猫の原産地気候に由来する基本的身体構造に関するケア論はほとんど取り沙汰されず、しかも日本の5〜10月に掛けての気候はほぼ亜熱帯気候と同等である事や、湿度が90%を超える事はザラである事すら認識が持たれていない。
セミナーを開催した折にいつもぶつけるのだが「日本の最高湿度がどれ位になると思うか?」と受講者に質問すると、概ね90%の受講者が「65%くらいですか?」と応える。
先月からの東北地方のショップセミナー巡りで、同じ質問をし、5月中旬であった当日のその地(山形)の湿度が92%もある事を示すと一様に驚いていた。
こういった事は観賞魚や小動物(両生類や爬虫類など)管理の世界では比較的常識であるのに、なぜか犬猫となると全く取り沙汰されないのが現状なのである。